実用時計を追求し続けてきたロレックス、今では高級時計の代名詞と言っても過言ではありません。
誰もが知っている認知度の高さ、耐久性、精度、美しさ、どれを取っても最上級クラス。
妥協のない完璧な実用時計として王者に君臨するロレックスは、安心して長く使える信頼性を獲得し、まさに一生モノとして相応しい。
とある時計ジャーナリストが「最初に買う腕時計はロレックスにしない方が良い」と言っているそうです。
理由は、あまりにも良い腕時計なので、他の腕時計ブランドに興味がなくなってしまうから。
確かに安価なオイスターパーペーチュアルであっても、一度腕に装着してみると、他の腕時計ブランドとは一線を画す美しさに驚かされる。
さて、今回はロレックスがなぜ評価されるのか、ロレックスの外装について詳しく説明しようと思う。
最高の実用時計として君臨するロレックスの外装は、ここ数十年、マイナーチェンジはしたもののレギュラーコレクションの基本デザインを大きく変更していません。
ロレックスは、とにかくマイナーチェンジが多いブランドです。
それはある意味、外装に関しては一つの完成形に到達したと言えます。
ロレックスはスイス最大規模のゴールド加工メーカでもあり、合金を内製、できる唯一のマニュファクチュールブランドです。
ロレックスはその強みを生かし、細かな部品一つ一つを最高のモノに仕上げることができるのです。
もっと細かい話をします。
素材

1985年以降、ロレックスのブレスレットやケースに採用されているステンレスは904Lスチールと呼ばれている素材です。
この904Lスチールは一般的なスチールよりクロムの量を多く含み、貴金属に匹敵する耐蝕性、耐久性をもっています。
さらに鍛造し研磨することで、とても美しい光沢を放ちます。
しかし904Lスチールの加工は非常に難しく、採用するには優れた加工技術が必要です。
904Lスチールは主に化学産業分野で採用されていますが、腕時計として採用しているのはロレックスのみ。
ロレックスを腕に装着した際、他の腕時計とは違う美しさを感じるのは、この904Lスチールを採用しているのも一つの理由です。
ケース

ロレックスのケースは、ロレックスの3大発明の一つであるオイスターケースを採用しています。
このオイスターケースはロレックスの土台であり、ロレックスの最大の発明と言っても過言ではありません。
実用腕時計として最初に克服しなければいけない課題は、腕時計にとって天敵である「水」。
1926年にロレックスはオイスター社と共同開発により、従来の防水性能を各段と向上させたオイスターケースを開発しました。
オイスターケースとは裏蓋とリューズをねじ込み式にすることで、牡蠣(オイスター)の殻のように高い気密性を保持する機構、特許を取得しています。
特に水が侵入しやすい竜頭に関しては、1952年に特許を取得したバネ仕掛けのねじ込み式リューズにより、さらに防水性能を向上させました。
リューズのパーツ構成数は10個ほど、防水性能を極限まで高めるため開発し続けたロレックスの最高傑作です。
ロレックスのリューズは2種類存在します。

①トリプルロックリューズ
三重構造のパッキンを装備した特別仕様のリューズです。
サブマリーナ(防水性:300m)、シードゥエラー(防水性:1,220m)、ディープシー(防水性:3,900m)といったダイバーズモデルを主に採用されており優れた防水性を誇ります。
②ツインロックリューズ
二重構造のパッキンを装備したリューズです。
こちらのリューズは、デイトジャストやオイスターパーペチュアルなどドレス系に採用されています。
【トリプルロックリューズは王冠マークの下に3つのドットが入っている】
【ツインロックリューズは王冠マークの下に素材を表すマークが入っている】
王冠マークの下の刻印は素材によって違います。
ちなみに王冠マークの下にドットが一つ入っていると「プラチナ」、ドットが二つでは「金無垢」、バーは「スチール」又はスチールとゴールドを組み合わせた「ロレゾール」。
ロレックスはオイスターケースを採用したことにより、現行の全てのモデルで最低100mの防水性を標準装備しています。
ダイバーズモデルではなくとも、日常生活でケース内に水が浸入することは間違えなくありません。
「埃や汗や水、熱や寒さから永遠に守られることを保証できる防水性能を備えたケース」それがオイスターケースでありロレックスの土台にあります。
1927年に15時間15分という記録でドーバー海峡を泳いで渡ったメルセデス・グライツ嬢の腕にはロレックスが装着されていました。
これはロレックスの歴史の中では非常に大きな出来事で有名な話です。
ドーバー海峡は直線距離(約34km)、実際に泳ぐ距離は約50~60km、さらに南西から北東へ流れる潮流が速く非常に過酷とされています。
ロレックスのオイスターケースは、とてつもない過酷な状況下でもケース内の水の浸入を完全に防ぎ、ムーブメントを保護することができる強靭なケースとして賞賛されました。
ロレックスのオイスターケースは、時計業界にとても大きな影響を与えています。
ちなみに、有名な高級腕時計ブランドのダイバーズモデルの多くは、このオイスターケースをベースに作られています。
【初期のオイスターケースモデル】
上の写真は初期のオイスターケースモデルの一つです。
ベゼルをケースにねじ込む際、回しやすいように配慮されたコインベゼルが特徴。
裏ブタも同様に回しやすいようコインエッジになっています。
【当時のロレック スオイスターの広告】
これは当時、ロレックスがオイスターを宣伝するために作成した広告です。
さまざまなオイスターケースが並び、ドーバー海峡を泳いで渡ったメルセデス・グライツ嬢の記事も記載されています。
ロレックスの創立者「ハンス・ウィルスドルフ」はオイスターケースついてこう語っています。
我が社が作っているのは世界最高の腕時計だ。
オイスターは、近年において腕時計に関する最も重要な発明であると考えている。
イギリスの市場向けに、すべてのスイスの時計製造会社を合わせたよりも多くの人気モデルを製造した。
時計が手首に着けられるようになって以来、多くの人々を困らせてきた問題に対する理想的な解決策を提供した。
オイスターは、男性に腕時計を流行させる何よりの火付け役になるだろうと私は予言します。
By ロレックス創設者:ハンス・ウィルスドルフ
ブレスとクラスプ
ブレスレット
腕時計の装着感を左右するブレスレットは、人間工学に基づいてデザインされています。
またケースと同様、904Lスチールを採用しているため耐蝕性、耐久性に優れており、さらに鍛造し研磨することで、とても美しい光沢を放ちます。
スチール以外にもゴールド、ロレゾール、プラチナなど素材の選択肢はさまざま。
ブレスレットのタイプは大きく分けて3つあります。
スポーツ系を中心に採用しているオイスターブレス、ドレス系に採用しているジュビリーブレスとプレジデントブレス。
【オイスターブレス】
オイスターブレスは最もシンプルでベーシック、3つのコマで作られており、中央がポリッシュ加工されているタイプと全てサテン加工されているタイプがある。
【ジュビリーブレス】
半円型の5つのコマを組み合わせたブレス、、主にドレス系モデルに採用されている。
コマの数が多いため、装着感に優れている。
旧タイプのジュビリーブレスは金属板を巻いて作られていたが、新タイプは塊で整形されており耐久性と高級感が旧タイプに比べ格段に増している。
【プレジデントブレス】
プレジデントブレスは半円型のコマを用いた3連ブレス。
主にデイデイトに採用されており、中央部はポリッシュ加工が施され、ラグジュアリーな高級感が協調されている。
クラスプ
クラスプとはブレスの留め金のこと。
ロレックスのクラスプは主に3種類存在する。
【押し上げることで開閉するオイスタークラスプ】
【2重ロック構造になっているオイスターロック】
【ジュビリーブレスやプレジデントブレスに採用されているクラウンクラスプ】
文字盤

ロレックスの文字盤の素材はプラチナ、真鍮、コールドなどが用いられ、電気メッキや蒸着メッキ、プリントなどロレックスの最先端の技術が施されています。
盤面はロレックスが設計から製造まで行っており、現在でもほぼ全ての工程を手作業で行っています。
ロレックスのインデックスや時分秒針は全て腐食性、耐磁性に優れたゴールド製で作られ、鏡面磨きが施されているため、とても美しい光沢を帯びています。
また時分秒針やインデックスに施されている発光塗料はスーパールミノバから2007年にクロマライトへ順次切り替えています。
クロマライトは青色に発光し、発光時間はスーパールミノバに比べ2倍ほど、現在ほとんどのモデルに採用されています。